ラブくま通信 6/25号

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移住者紹介/伊藤秀さん・由佳さん

病を乗り越え、「今」の大切さを実感。 夫婦で農家としての一歩を踏み出す!

伊藤 秀さん・由佳さん/上天草市在住
伊藤 秀さん・由佳さん/上天草市在住

空き家物件に一目惚れし、上天草市へ移住

大矢野島、上島など、大小120あまりの島々から構成されている上天草市。この地に惹かれ福島県から移住した伊藤秀さんと妻・由佳さん夫妻は、今年から新規就農を果たし、新たなスタートを切りました。

10代の頃から、自給自足や田舎暮らしに憧れがあったという2人は、お互いの出身地である埼玉県で出会い結婚。2011年の東日本大震災を機に、夫・秀さんが抱いた「自分の目で震災後の現実を確かめたい」との思いから、2016年に福島県に移住しました。福島では、由佳さんは農業短期大学校で学び、秀さんは除染作業員やトレーラーの運転士などをして働いていました。
しかし、ある日、由佳さんのガンが発覚。余命3カ月との宣告を受け、闘病生活を送ることに。幸い治療の甲斐もあって病状が回復に向かい始めた頃、夫婦で「人はいつ死ぬかわからない。やりたいことがあるなら後回しにせず、今、好きなことをやっていこう」と決断しました。

由佳さんの祖父の生まれ故郷で、度々夫婦で墓参りのため訪れていたことから、「人生の最期を迎えるなら、熊本がいい」と、熊本への移住を考えていた矢先、空き家バンクのサイトで上天草市の空き家を見つけました。「一目惚れして、胸がときめいた」と振り返る由佳さん。海の近くで暮らすことを希望していたこともあり、迷わず物件を購入し、2022年夏から上天草市に移住しました。

築70年の元牛舎の納屋付き自宅。母屋は7DK。裏山は、土地所有者の許可を得て整備し、柑橘類を育てています
築70年の元牛舎の納屋付き自宅。母屋は7DK。裏山は、土地所有者の許可を得て整備し、柑橘類を育てています

地域の人々の支えが“農のある暮らし”の礎に

自給自足の暮らしを夢見て移住した伊藤さん夫妻でしたが、すぐに問題に直面します。家の目の前にある耕作放棄地を畑として所有したいと行政に相談しましたが、「農業に参入する条件を満たしていない」などの理由で、すぐに所有することができませんでした。そこで、秀さんは熊本県立農業大学校のプロ経営者コースに1年間通い、今年4月から認定新規就農者となり、晴れて耕作放棄地を所有することができました。現在は、主にナスやミニトマトなどを栽培。出荷に向けて農作業に励む毎日です。

上天草市から合志市の熊本県立農業大学校まで、片道75㎞を毎日運転して通った秀さん。ナスの栽培について専攻しました
上天草市から合志市の熊本県立農業大学校まで、片道75kmを毎日運転して通った秀さん。ナスの栽培について専攻しました

移住して、間もなく2年。地域の人たちの支えもあり、上天草市での暮らしは有意義なものになっているようです。「何より同じ集落の方々の優しさに助けられています。軽トラを譲ってくれたり、トラクターを貸してくれたり。この地域に来て本当に良かった」と口を揃える2人。さらに夫・秀さんは、「自分たちが就農するのにとても苦労した分、ゆくゆくは、同じように『上天草で農業を始めたい』と志す人に家や畑をそのまま譲り、この景観を守っていってくれたら本望です。そのためにも、とにかく今を楽しみながら魅力的な“農のある暮らし”を送っていきたいです」と話します。農家としてのキャリアはスタートしたばかりですが、夫婦の夢はすでに大きく広がっています。

自宅前の耕作放棄地を整備し「地域の景観をきれいにして、みんなに楽しんでもらいたい」と、現在はヒマワリを植えています。近所の方々も開花を楽しみにしているそう
自宅前の耕作放棄地を整備し「地域の景観をきれいにして、みんなに楽しんでもらいたい」と、現在はヒマワリを植えています。近所の方々も開花を楽しみにしているそう
12歳になる愛犬「レアル」。徒歩圏内で海岸まで散歩に行けることも、物件購入と移住の決め手になりました
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「近所の人たちとの関係性を築くのに一番良いのは犬の散歩」と由佳さん。路上で出会った人たちとの会話のきっかけにもなるので、「(犬の散歩は)移住成功のポイントの一つ」と薦めます
「近所の人たちとの関係性を築くのに一番良いのは犬の散歩」と由佳さん。路上で出会った人たちとの会話のきっかけにもなるので、「(犬の散歩は)移住成功のポイントの一つ」と薦めます

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