【新・旬感くまもと/熊本市・街なかアート】本、美術からマンガまで。実は“アート”があふれる街―熊本市

壁に多くの本や雑誌が並ぶ共栄堂の店内
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旬感くまもと

街なかに個性の異なる3つの美術館

熊本市を訪れる人にとって、“街なか(市内中心部)”での観光といえば、熊本城や水前寺公園、くまモン好きなら「くまモンスクエア」などが定番でしょうか。しかし、熊本市の街なかには、意外なことにさまざまなアートに触れられる施設や店が点在していて、ひと味違ったディープな熊本を感じることができます。

美術に触れたいなら、上通町にある「熊本市現代美術館 CAMK」。現代美術家の日比野克彦氏が館長を務め、ジェームズ・タレル、マリーナ・アブラモヴィッチ、草間彌生、宮島達男といった国際的に活躍する4人のアーティストの作品が常設展示されています。また、熊本城内には「熊本県立美術館(本館)」があります。モダニズムの旗手として日本建築界を牽引した前川國男氏が設計した建物も見どころの一つ。メインホールの一角にあるカフェも人気スポットです。

 熊本県立美術館には「分館」もあり、細川家の永青文庫コレクションが展示されているほか、1階には美術館ギフトや雑貨・アンティークなどを扱うショップ、4階には熊本城を眺めながら本格ドリップコーヒーが楽しめる喫茶室もあります。

熊本市現代美術館のロビー。
現代アートの企画展だけでなく、映画の上映会やコンサートなど、さまざまな催しが行われ、市民の身近なアートスポットとして親しまれている熊本市現代美術館
熊本県立美術館の内部。大きな窓からは豊かな木々が見える
熊本城内の二の丸広場の一角にある県立美術館。城内の木々に囲まれ都会の喧噪を忘れさせる空間になっています

■熊本市現代美術館

■熊本県立美術館

■熊本県立美術館分館

ふと立ち寄りたくなる“カフェ+アート”空間

熊本の“街なか”には、アートとカフェでゆったりとした時間を過ごせる空間もあります。旅の疲れを癒すのはもちろん、ふと立ち寄って思わぬお気に入りを発見することができるかもしれません。熊本市の目抜き通りの一つ、上通りから並木坂に入ってすぐの場所にある「本と音楽と珈琲と、共栄堂」は、名前の通り「本、音楽、珈琲」をテーマにしたカフェ。店主がセレクトした本や雑誌など約5,000冊と、同じく店主こだわりの音楽が流れます。無人運営でドリンクなどの注文もキャッシュレス&セルフサービス方式とあって、自分の世界に浸れるのも魅力の一つ。

明治時代に建てられたレトロな建物で人気なのは、中心市街地から路面電車で10分ほどの新町にある「長崎次郎喫茶室」と「ギャラリー静観堂」。明治7年創業の歴史ある書店(書店は2024年6月に休業)の建物で、1階にあるギャラリーは、絵画だけでなく立体や映像作品の展示、物販なども行う多目的なスペースです。2階の喫茶室の窓からは外を走る路面電車を見ることができ、建物を含めたノスタルジックな光景を写真に収めようと、多くの観光客が訪れています。

共栄堂の店内の様子。左側の壁一面に設けられた棚に多くの本や雑誌が並んでいる
カルチャー、アート、ビジネス、マンガなど多彩なジャンルの本や雑誌が並ぶ共栄堂の店内。時には音楽イベントやパーティーも開催されます
共栄堂の机に置かれたコーヒーカップ。
コーヒーは、熊本の人気カフェ「珈琲回廊」や山都町のコーヒーショップ「appartment」のものが味わえます
瓦葺や窓の形、タイルなどで歴史を感じる長崎次郎喫茶室の建物外観の写真。
ここだけ昔にタイムスリップしたような長崎次郎喫茶室の建物。“映えスポット”として外国人旅行者にも人気です
長崎次郎喫茶室の目の前の交差点を走る熊本市電の車両
目の前には熊本市電が走っていて、電車と建物を一緒にカメラに収めようと待ち構える人も少なくありません

■本と音楽と珈琲と、共栄堂

■長崎次郎喫茶室

マンガ×演劇で味わう新感覚アート

熊本市には、マンガをテーマにしたアートギャラリーと劇場が一体となった複合施設もあります。それが2024年12月にオープンした「熊本マンガアーツ」です。入場無料のアートギャラリーでは、さまざまなマンガの複製原稿やアート作品を展示。思わずコレクションしたくなるようなマンガグッズなども販売されています。

さらに、今年10月からは新サービス「熊本漫画道場」がスタートしました。これは、プロ仕様の原稿用紙にペン入れを行い、名作シーンを自分の手で再現できる体験プログラム(所要時間60~120分)。完成した作品は額装してペンと一緒に持ち帰ることができ、見るだけでなく描く楽しさも味わえます。

また、ギャラリーに併設された「オクロック熊本歌劇団」の活動拠点となる常設劇場では、月刊コミックゼノンで連載中の「前田慶次かぶき旅」シリーズや、絵本「森の戦士ボノロン」などを題材に、大人から子どもまで楽しめる作品を上演しています。

入口に並ぶポスターには北斗の拳の主人公ケンシロウと「ここが、マンガの新たな聖地だ!」と書いてある
熊本マンガアーツの入口に並ぶポスターで早くもテンションが上がります!
北斗の拳の主人公ケンシロウとライバルのラオウの闘う様子が描かれたオリジナルアート作品の写真
名作マンガ「北斗の拳」のオリジナルアート作品も展示販売されています。展示作品はいずれも撮影OK
名作「シティーハンター」の複製原画原稿。原稿の余白に青い文字のメモ書きが残っている
ファンにはたまらない、余白にメモ書きが残る名場面原画原稿(複製)も
オクロック熊本歌劇団の上演スケジュールや演目などは公式ホームページでチェックを

■熊本マンガアーツ

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