移住者紹介/杉谷憲一さん

被災地応援で訪れた熊本の風土と人々に魅了され移住

熊本移住のきっかけは何だったのですか?

2021年にたまたま訪れた球磨川流域で、令和2年7月豪雨の被害を目の当たりにしたことです。それがきっかけとなり、様々なつながりが生まれ、次第に熊本に魅了されて移住を決意しました。
杉谷さん:以前は神奈川県川崎市在住で、サントリーホールディングス株式会社(以下、サントリー)に勤めていました。2021年に所用で人吉市を訪れ、その合間に趣味の釣りをしたいと思い、知人の紹介で八代市坂本町に向かいました。その道中、川沿いの崩れた道路や被災家屋、散乱したゴミなどを目の当たりにしました。さらに、浸水被害に遭った家屋が次々と解体されていく中で、「代々の生活文化や記憶が詰まった木材を少しでも継承していきたい」という思いを持った方がいることを知り、「自分に何かできることはないか」と考えました。当時、サントリーで焙煎機を載せたキッチンカーを活用した「焙煎豆珈琲屋 RR coffee(Restoration Roasters)」という事業に携わっていたので、珈琲を通して「Restore(失ったものを取り戻す)」という本事業の理念にも合致すると思い、解体されて可燃ごみとして処分される運命だった家屋の木材を移動焙煎車の屋台に活用することを検討しました。その後、でき上がった移動焙煎車で被災地に行きコーヒーをふるまったり、プライベートでも妻と人吉や八代を訪れたりするうちに、どんどん熊本に魅了されていき、妻とも話し合って移住を決めました。

熊本で焙煎豆珈琲屋として再始動

現在、熊本ではどんなお仕事をされているのですか?

移動焙煎車で地域を巡ってコーヒーを淹れているほか、地域の食に関連する事業者の事業拡大のお手伝いを行っています。
杉谷さん:2024年1月にサントリーを退職し、3月に西原村に移住しました。移住後に、同社が「RR COFFEE」事業を終了させることが決まり、どうにか移動焙煎車をゆかりのある熊本に残せないかと考えました。そこで、被災地応援活動で繋がりのあった、八代市などで高齢者の健康や安心を支える活動を行っている団体「一般社団法人看護のココロ」に焙煎車を払い下げてもらい、実際の運用や活動を私が行うことになりました。
今年1月から、「焙煎豆珈琲屋 LiNK ROASTERS」の名前で活動をスタートしました。移住前から被災地や過疎地域を訪れる中で、生活再建もままならず、人知れず苦労をしている人たちがいる現状を見ていたので、焙煎車で被災地や地域の集まりの場を訪れ、閉じこもりがちだった人たちが顔を出してくれて、何気ない会話が生まれる瞬間に喜びを感じています。また、前職で食に携わってきた経験を生かして飲食・食品業を応援したいと、中小企業診断士としても活動しています。

地域ならではの人のつながりと温かさが心地いい

熊本の一番の魅力は何ですか?

自然や食べ物が豊かで、何よりも“人”が魅力的なところですね。
杉谷さん:水が美味しく、野菜や肉も美味しい、そして温泉もある。熊本は「いいとこだらけ」ですが、中でも、人の優しさに心底魅了されました。災害で辛い目にあったはずの皆さんが、県外から焙煎車で来た私たちを労ってくれたり、手作りのマスクやお饅頭をくださったりして、何度も涙しました。関東に住んでいた時にはなかった隣人との付き合いなど、熊本で経験する地域の人々とのつながりや温かさが、とにかく心地いいです。これからも、珈琲を通して、人吉・球磨の被災地域の記憶を継承しながら、少しでも多くの方々に“笑顔になるひと時”を提供し、地域の人たち同士のコミュニケーションやつながり作りのきっかけを生み出せるようになれればと思います。


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開催日時 | 2025年3月10日(月)~14日(金)平日 |
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受付時間 | 各日13時,14時,15時,16時,17時(先着順) |
開催方法 | オンライン(Zoom) |
時間 | 40分程度 |
参加費 | 無料 |
参加市町村 | 南小国町、芦北町、錦町、球磨村 |