ラブくま移住者インタビュー
地域に支えられながら、自分らしく、自由に。 やりたいことをやらせてもらっています。

地域おこし協力隊員に夫婦で応募
神奈川県で暮らしていた植村真穂さんが上益城郡山都町へ移住したのは、2017年のこと。2016年、夫・祐介さんの転勤を機に合志市に転居。そこで1年ほど過ごしたのち、山都町の「地域おこし協力隊員」に夫婦で応募したのがきっかけでした。
「主人が自給自足の生活に憧れて転職を検討していたことと、飼っている犬を自然豊かな環境で元気に走り回らせてあげたい気持ちがあり、インターネットで検索したところ、山都町で『地域おこし協力隊員』を募集しているのを見つけました。当時は山都町のことはほとんど知りませんでしたが、2人の希望にも合っている上、紹介してもらえる住まいがペット可だったのも決め手になりました」と植村さん。
祐介さんは有機野菜の栽培、植村さんは「ジビエ工房やまと」でイノシシやシカの解体・精肉加工に従事しました。地域おこし協力隊員になることで、移住を決断する上で重要な「仕事」と「住まい」の両方をスムーズに見つけることができた植村さん夫妻。山都町役場を通じて紹介してもらった家は築約70年と古いものですが、居室の他に納屋や土間もあり、夫婦とペット数匹で暮らすには十分な広さ。家賃も月3万円と手頃で、「移動に車が欠かせないことと、冬の寒さを除けばいたって快適」と満足そうです。
ジビエを使ったペットフードを開発
地域おこし協力隊の任期は3年ですが、その後も一定の条件を満たせば、最大100万円の「起業支援補助金」が支給されます。祐介さんは再び会社勤めに戻りましたが、植村さんは同制度を活用し、任期終了後の2020年にシカやイノシシなどのジビエ肉を活用したペットフードの製造・販売を行う「Mother Earth(マザーアース)」を立ち上げました。
「山都町では年間約6000頭のシカやイノシシが害獣として駆除されています。でも、自然のものを食べているジビエは究極のオーガニック食材。ペットフードとしての活用は全国的にも進められていますし、皮膚の弱い愛犬も健康になると思い、協力隊での仕事の傍らで構想を練り、試作を重ねました」。
現在は、ジャーキー類を中心に10数種類の商品をネットショップや物産館で販売しているほか、各地のイベントへの出店やSNSを通じたPRを展開。さらに、町が企画するプロジェクト「チャレンジ・応援!山都ラボ」の一つとして、ジビエ専用ミックススパイスの開発が採択され、新たな一歩も踏み出しました。
「星空の美しさや田園風景など、自然の豊かさが山都町の魅力。町が移住者同士の交流会を開いてくれるなど、近所の皆さんも快く受け入れてくれました」と振り返る植村さん。一方で、「自分たちから溶け込もうとする姿勢を持つことも大切」とも。今後もさらに地域に根を張り、自分がやりたいことの幅を広げていきます。


