歩いて見つける地域の魅力
五感で楽しむ熊本フットパス
歩いて見つける地域の魅力
五感で楽しむ熊本フットパス
井澤るり子さんインタビュー
多様なコースが魅力 フットパス先進地・美里町
熊本県内の各市町村には数多くのフットパスコースがあります。自然を満喫したり歴史や文化を感じたり、あるいは地元との交流が楽しめたりなどバラエティーに富んでいます。
熊本でいち早くフットパスによる地域づくりを始めたのは美里町です。大小の石橋に出合う霊台橋石橋コース、のどかな山里の田舎道を歩く白石野里山コース、水路沿いに歩いて集落を巡る岩野用水コースなど、19のコースがあります。歩く距離も3~9kmとさまざまで、9kmコースの場合、所要時間は約160分となっています。
フットパス活動の中心を担っている美里フットパス協会の井澤るり子会長は、「受け身ではなく、自分の興味や関心に合ったところを選べるのがフットパスの魅力です」と話しています。そのため美里町では、ガイドが付く場合も基本的には聞かれたことに答えるだけで必要以上の説明はしないそうです。井澤さんは、フットパスコースを作る人たちの交流の場となっているフットパスネットワーク九州の議長も務めていて、各地のコースづくりでアドバイスを求められるそうです。
美里フットパスの下福良コース。棚田の重なりが美しく広がります
井澤さんは県内各地のコースづくりにアドバイスしています。芦北町の佐敷まちなかコースも井澤さんが協力したコースの一つです
五感で歩いて地域と交流 フットパスがもたらす好循環
「景色を見るだけでなく、風や水の音、生活の匂いなど、五感をフルに使って歩くことで思いがけない発見があり記憶に残ります」。当然、車で移動していては味わえないもので、ゆっくり歩くことで、目にした風景や情報をじっくりと味わうことができ、同じコースでも季節によって違いがあるためリピーターが多いということです。
井澤さんは「地元の人も、何もないと思っていた自分たちが暮らす場所が、よそからわざわざ見に来てくれる価値があったのだとの自信を持つようになりました」と話します。草刈りなどでコース整備にも積極的に協力してくれるといいます。「訪れた人から『いいところですね』と言われて、地域の人も喜んでいます」と井澤さん。交流人口を増やすのにフットパスが効果を上げています。
フットパスの楽しみ方には、マップを入手して自由に歩くセルフランブリング、ガイドの案内で歩くガイドウォーク、イベントに参加するイベントウォークがあります。井澤さんは「イベントがなければ歩けないと思っている方がいるかもしれませんが、そんなことはありません」と話しています。美里町ではセルフで楽しんでもらうことを基本としていて、フットパス未経験の人はまずイベントに参加して、歩き方や楽しみ方を知ってほしいそうです。
コース付近に住む住民と話す井澤るり子さん(右)
美里フットパスの緑川ダム湖畔コース。季節の花々も楽しみの一つです
フットパスを楽しむには、ごみは持ち帰ることや私有地に勝手に入ったりしないことなどマナーも求められます。井澤さんによると、熊本ほどフットパスが盛んなところはないそうです。県内にどういうコースがあるかは「WaWくまもとネットワーク」のホームページで検索できます。