【新・旬感くまもと8月/三角西港(宇城市)】世界遺産・三角西港を巡る。今こそ行きたい熊本復興旅―宇城

開港当時に建てられた外国人向けの宿泊施設「浦島屋」(現在の建物は1993年に復元されたもの)。ミントグリーンと白壁のコントラストが映え、回廊からの眺めや外観などフォトジェニックな撮影スポット
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熊本に残る3つの“世界遺産”

熊本県内には、世界に誇るべき貴重な歴史の足跡が刻まれた「世界遺産」の構成資産が3つ存在しています。その一つ、荒尾市にある「万田坑」は日本が近代国家へと駆け上がる原動力となった「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船・石炭産業」の構成資産です。当時を物語る産業遺構の重厚な佇まいからは、日本の近代化に挑んだ人々の熱量がダイレクトに伝わってきます。

万田坑
万田坑

これに対し天草市の「﨑津教会」は、キリスト教禁教期の中でも密かに信仰を継承してきた人々の歴史を伝える「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産。漁村の風景に溶け込む教会は、独特の美しさを醸し出しています。異なる時代やテーマを持つ熊本の世界遺産を巡りながら、歴史のロマンに思いを馳せる旅を楽しんでみませんか。

﨑津天主堂
﨑津天主堂

明治の近代化を支えた技術の粋が現存

もう一つの世界遺産「三角西港」は、熊本県の中央部から突き出た宇土半島の先端に位置し、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船・石炭産業」の構成資産の一つです。1887(明治20)年に開港し、宮城県の野蒜(のびる)港や福井県の三国港と並び「明治日本の三大築港」の一つに数えられる一大国家プロジェクトでした。

この場所が選ばれた背景には、港内が極めて穏やかで十分な水深があり、暴風や波浪の影響を受けにくい“天然の良港”だったことがあります。その恵まれた地理的条件を活かし、石炭や農産物を国内外に輸送する拠点となりました。

エメラルドグリーンの海と、深い緑の山々の懐に抱かれるように広がる三角西港。明治文化の結晶が今も息づいています
エメラルドグリーンの海と、深い緑の山々の懐に抱かれるように広がる三角西港。明治文化の結晶が今も息づいています
埠頭に残る石造りの階段や係船柱(ボラード)。対岸の山から切り出された硬質な岩を一つひとつ丁寧に組み上げた、天草の石工たちの優れた技術が垣間見えます
埠頭に残る石造りの階段や係船柱(ボラード)。対岸の山から切り出された硬質な岩を一つひとつ丁寧に組み上げた、天草の石工たちの優れた技術が垣間見えます

設計を担当したのは、オランダ人の水理工師ローエンホルスト・ムルドル。そこに天草の優れた技術を持つ石工たちの技が融合し、見事な港が築き上げられました。全長756mの石積み埠頭や、水質保全と災害防止を兼ね備えた石積みの排水路・環濠(後方水路)など、細部まで計算された近代港湾の姿を間近に見ることができます。ヨーロッパ的な美しい曲線を描く石積みの技や、当時の最先端技術が息づく構造美の数々は、訪れる人々を深く魅了してやみません。

東排水路に架かる「三之橋」。列柱を模した桁石や一枚石の欄干など、細部までこだわり抜かれた意匠が特徴
東排水路に架かる「三之橋」。列柱を模した桁石や一枚石の欄干など、細部までこだわり抜かれた意匠が特徴
開港当時に建てられた外国人向けの宿泊施設「浦島屋」(現在の建物は1993年に復元されたもの)。ミントグリーンと白壁のコントラストが映え、回廊からの眺めや外観などフォトジェニックな撮影スポット
開港当時に建てられた外国人向けの宿泊施設「浦島屋」(現在の建物は1993年に復元されたもの)。ミントグリーンと白壁のコントラストが映え、回廊からの眺めや外観などフォトジェニックな撮影スポット
大正ロマン薫る「龍驤館(りゅうじょうかん)」は、かつて図書館や公会堂として使われていた洋館。現在は三角西港の歴史を模型やパネルで解説する歴史ガイダンス室となっています(入館料/高校生以上200円、小学生・中学生100円、幼児無料)
大正ロマン薫る「龍驤館(りゅうじょうかん)」は、かつて図書館や公会堂として使われていた洋館。現在は三角西港の歴史を模型やパネルで解説する歴史ガイダンス室となっています(入館料/高校生以上200円、小学生・中学生100円、幼児無料)

レトロなカフェと周辺スポットも満喫

三角西港の魅力は歴史散策だけにとどまりません。港の周辺には、穏やかな天草の海を眺めながらゆったりとしたひと時を過ごせるカフェが点在しています。歴史ある旧三角海運倉庫を利用した「アマテラス珈琲」のほか、景色を楽しみながらくつろげる「Rest&Cafe 海の隠れ家」もあり、旅の合間に心地よい潮風を感じながら美味しいコーヒーや食事で一息つくことができます。

アマテラス珈琲が入る旧三角海運倉庫は、かつて荷揚げ倉庫として使われていました。向かいにある「龍驤館」とともに国の登録有形文化財です
アマテラス珈琲が入る旧三角海運倉庫は、かつて荷揚げ倉庫として使われていました。向かいにある「龍驤館」とともに国の登録有形文化財です
目の前に広がる穏やかな海を眺めながら、「アマテラス珈琲」のテラス席でいただく名物「焼きハヤシ」ランチセット
目の前に広がる穏やかな海を眺めながら、「アマテラス珈琲」のテラス席でいただく名物「焼きハヤシ」ランチセット

また、三角西港のすぐ近くには映画『るろうに剣心』のロケ地として“聖地巡礼”に訪れる人も多い「法の館(旧三角簡易裁判所)」も。さらに、宇土半島の反対側にある三角港には、ユニークなフェリーターミナル「海のピラミッド」や、地元の新鮮な海の幸や特産品が並ぶ物産館「ラ・ガール」もあります。

旧三角簡易裁判所は1920(大正9)年から72年間もの間、簡易裁判所として使用されていた歴史ある木造建築
旧三角簡易裁判所は1920(大正9)年から72年間もの間、簡易裁判所として使用されていた歴史ある木造建築
円錐形の巻貝のような形をした三角港フェリーターミナル、通称「海のピラミッド」。らせん状のスロープを上がると最上部には展望スペースも
円錐形の巻貝のような形をした三角港フェリーターミナル、通称「海のピラミッド」。らせん状のスロープを上がると最上部には展望スペースも

宇城市は令和8年熊本地震で大きな被害を受けた地域の一つですが、三角西港へ向かう国道57号は問題なく通行でき、JR三角線も通常通り運行しています。地震後の熊本を訪れ、観光で熊本を応援する一環として、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

問い合わせ先

三角西港

所在地熊本県宇城市三角町三角浦
TEL0964-32-0020(宇城市観光物産協会)
URLhttps://www.city.uki.kumamoto.jp/nishiko/

法の館(旧三角簡易裁判所)

(※令和8年熊本地震の影響により、現在館内は休館中)

所在地熊本県宇城市三角町三角浦1031
TEL0964-32-0020(宇城市観光物産協会)
URLhttps://www.city.uki.kumamoto.jp/toppage/nishiko/nishiko_rekishi/2020020

アマテラス珈琲

所在地熊本県宇城市三角町三角浦1268-1
営業時間10:00-17:00(ランチタイム11:00-15:00)
店休日不定休
TEL080-9101-5577
URLhttps://www.instagram.com/amaterasu.coffee/

Rest&Cafe 海の隠れ家

所在地熊本県宇城市三角町三角浦102
営業時間11:00~17:00(12月頃~2月末頃までの平日および土曜日は15:00まで)
店休日火、水曜
TEL0964-42-9239
URLhttps://himuka0612.wixsite.com/my-site-1/home

ラ・ガール(JA熊本うき直売所「サンサンうきっ子みすみ」)

所在地熊本県宇城市三角町三角浦1160-179
営業時間9:00〜17:00
店休日水曜
TEL0964-27-4188
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